ご存知の方もいらっしゃるが、私はおよそ１０年前から瀬戸内海の離島に住んでいる。

海はほぼ目の前、通勤は船、仕事もデスクながら海の関係と「海まみれ」な生活。

だから、「キャンプにまで海」と思うことが普段はないのだが、つい最近、感動ものの綺麗な夕焼け空を見たとき、たまにはこういう空の下でキャンプがしたいと思い立った。

視界の開けたところでゆっくり「焼け空」を見たかったので、いつもの山方面をやめ、海から陸に渡り、再び海へ渡るという、例えば田舎から田舎へ移住のような意味のわからない行動に出たのが1/16（土）のこと。




この際、近場でもどこでも良かったのだが、条件はそう遠くないことと、朝焼け、夕焼けの両方が見れること。

だが、いざ探してみるとオフシーズンであることも手伝って、狭い瀬戸内海には該当する場所が意外にない。

グーグルマップとさんざん睨めっこの末、ようやく見付けたのが地形的にも目に留まった愛媛の大角海浜公園キャンプ場。

離しょ部を除く愛媛県最北端に位置し、東西両方に開けている。

小さな半島のような場所が、ぼっちキャンパーの「隅っこ好き心」をくすぐったことも選んだ理由だ。




ただし、このキャンプ場は小山を隔てて東西２箇所の広場に分かれており、いずれかの場所によって朝焼けか夕焼けかの取捨選択をしなければならない。

夕焼けならば西側の「くじら広場」。
普通ならこちらを選ぶとなりそうだが、いざ行ってみると磯で釣り人などの出入りが多く、あまり落ち着かない様子。




悩んだが結局、朝焼けの「カレイ広場」を選んだ。
夕焼けといっても時間は限られているし、距離は１００ｍほど。

それはそれで拝みに行くことにして割り切った。




日中の海には興味がなかったので場所の選定だけをし、気になっていた七五三ヶ浦（しめがうら）公園キャンプ場の視察に行った。
あわよくばそっちに張ろうかとも考えていたが、残念ながら猪に荒らされ放題でとてもキャンプどころではなさそうだった。

とりあえずそこで昼を食べ、そのまま温泉＆サウナへ行ったので戻ったのは夕方近く。

カレイ広場に設営してから、急いでくじら広場の片隅にFAST STASHをテキトー張りする。
夕焼けをゆっくり楽しむには風を遮るものが欲しい。

それにしても、なぜくじらとカレイなのかは謎だ。




荷物はカメラとビールのみ。




すぐに日が沈みだす。
雲がなく、ここに来るきっかけとなったダイナミックな夕焼けとは違ったが静かで美しい。




瀬戸内海らしいお上品な夕焼けだ。

島に移り住むまでは、何かで思い詰めると決まって海を眺めに行っていた。




じっと見つめていると焚き火のひとときのように心は空っぽになる。

対処療法に過ぎないことは分かっているが、それでも何もしないよりは随分マシだ。




日が沈んだ後、しばらくして訪れるグラデーション。
あっという間の１時間。

「悩みのない人間などいない。」

とりあえずの、いつもの悩みのシメをする。

さあ片付けて晩飯だ。








正月明けの連休中日、消防出初式の打ち上げは絶対に「焼肉」だと随分前から踏んでいた。

それまで「焼肉」だけは食うまいと、スーパーの４割引きや半額シールがババーン！と張られたウマそうな肉を見ても心を鬼にしてスルーしていた。

だが・・・





























予想は外れ、メニューはよりによって



























「鍋」だった。












さんざんキャンプで食っとるっちゅーねん・・・
(;´Д｀)








この恨みはらさでおくべきか！


というようなことがあって、今回は絶対に肉を食おうと決めていた。

早朝のスーパーへ行った甲斐もあり、見事４割引きでゲット。




焼肉屋での飲み会で焼き手をやっていると、「もうちょっとよー焼いてくれんかな？ちょっとカリカリくらいに。」

なんてことを言う御仁がたまにいるが　　　　　。




快諾しつつ、「ビーフジャーキーでもかじっとけ(ﾟДﾟ)ｺﾞﾙｧ！」と心の中で罵声を浴びせている。




昨年からずっと秘めていたラムチョップへの渇望。
ついに叶った人生初のレア食い。

塩コショウをし、オリーブオイルを塗り付けて焼いた。




うめえええええ！

「ラム独特の」というのは臭みなどではなく、独特ではあるが芳醇な香り！
レア食いにハーブは必要なかった。

ちなみにこちらも４割引き(｀・ω・´)

骨周りの肉をガブガブかじっていると、ちょっとしたオオカミ気分も味わえてキャンプのワイルド感が一時的に増す。




食事のシメは買ったまま食いそびれて鞄に眠っていたレトルトおでん。

金銭的にも身体的にも最後まで晩餐というわけにはいかない。




オイルランタンの光だけでテーブルを照らしている。

写真は撮りづらいが、食事が最もうまそうに見える明かりだと思う。




来島海峡大橋が遠くに見える。

やはりこちら側にして正解だった。反対側のくじら広場はほとんどひたすら海なだけで、夜はどことも変わらない、いつものただの海だ。




他に二組のソロキャンパーがおられたが、とても静かな夜だった。
ボリュームを絞ってキース・ジャレットを聞きながら、その音楽とは合わないペースでJIMBEAMのお湯割りを。

写真を撮りに行くのも千鳥足。ゾンビの徘徊さながらである。

いつ寝たのかも覚えていない(-。-)y-゜゜゜




前夜、飲んだくれてアラームをセットをし忘れて寝てしまったが、幸い日が昇り切る前に目が覚めた。
飛び起きてテントの外に出る。




この日は午後から雨予報。

朝から風が強く、必要な時以外はシェルターを締め切って籠っていた。
おかげで余計なことに気を取られず、ゆっくり本を読むことができた、

オイルランタンの温もりだけでも外気温と５℃は違う。

ただこいつの難点は、強風時だとホヤに入り込む風で酸素が過給され、炎が暴れて煤を吐きまくり、ホヤガラスを汚してしまうことだ。

とはいえ、それを洗ってピカピカにするのは実に気持ちの良い作業で、ものぐさな私でも苦痛にはならない。




牡蠣めし。

無論40％OFF
ちなみに今回の食材はすべて40%OFF、パーフェクトゲーム。

別茹でし、そのだし汁をベースに味付けをしてごはんを炊き、身を後乗せするレシピが多いが、そんなことをしなくても炊飯の途中、沸騰したあたりで蓋を空け、牡蠣を投入して炊けば良い。

炊飯器ではタイミングを計るのが難しいが、飯盒や土鍋炊きなら簡単だ。



牡蠣は生食用と加熱調理用の意味を取り違えられていることが多い。
両者は鮮度の違いではなく、滅菌洗浄をしているか否かの違いだ。
食べ比べればハッキリ分かるが、風味がほぼ飛んでいる生食用を加熱して食ってもまったく美味しくない。





・・・なんて偉そうに講釈を垂れているが、私自身それを知ったのは移住してからの話である。

さて、考えてみれば人生初の海キャンプ。
時には見たくもない海だが、景色変われば気も変わる。

人の多い季節は別の意味で御免こうむるが　　　　　。










冬ならありかもしれない。